自分の中に力を呼び覚ます 内なる応援団を見つける実践ワーク
自分の中に眠る「応援団」とは
日々の暮らしの中で、私たちは様々なストレスや困難に直面します。漠然とした不安に襲われたり、自信を失ったりすることもあるかもしれません。そのような時、「自分にはどうしようもない」「乗り越えられないかもしれない」と感じてしまうことは自然なことです。
しかし、意識を変容させる実践的なアプローチでは、多くの場合、私たち自身の内に、困難に立ち向かうための力や、自分自身を支える肯定的な側面が既に備わっていると考えます。この内なる力を、ここでは分かりやすい比喩として「内なる応援団」と呼んでみましょう。
「内なる応援団」とは、特定の姿形を持つ存在ではなく、自分自身の内にある、強さ、回復力、知恵、優しさ、そして自分を信じる気持ちといった肯定的な側面全体を指します。それは、過去に困難を乗り越えた経験からくる自信であったり、逆境の中でも希望を見出そうとする意志であったり、あるいは自分自身への無条件のサポートの声かもしれません。
この「内なる応援団」の存在に気づき、その声に耳を傾ける練習をすることで、私たちは困難な状況でも心の平静を保ちやすくなり、自己肯定感を育み、前に進む力を呼び覚ますことが期待できます。
内なる応援団を見つける実践ワーク
このワークは、特別な道具や場所を必要とせず、比較的短い時間で実践できます。自分自身の内なるリソースに意識的に繋がることを目的としています。
準備するもの
- 静かで落ち着ける場所
- 座るか横になるかしてリラックスできる状態
- もし必要であれば、考えや感覚を書き留めるためのノートとペン
実践ステップ
このワークは、心を静かにして行うことが大切です。まずは深呼吸を数回行い、心と体を落ち着かせましょう。
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リラックスし、内側へ意識を向ける(5分) 楽な姿勢で座るか横になります。目を閉じ、呼吸に意識を向けましょう。吸う息、吐く息。体に入ってくる空気、体から出ていく空気を感じます。体の緊張している部分があれば、息を吐くたびにその部分が緩んでいくのをイメージします。心の中で「私は今、この瞬間にいる」と静かに繰り返しても良いでしょう。
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現在の課題や困難を静かに見つめる(5分) 今、あなたが直面している課題や、感じている漠然とした不安、困難だと感じている状況に、静かに意識を向けてみます。その状況を、良い悪いという判断を挟まず、ただありのままに心の中に浮かべます。その課題に対して、自分がどのように感じているか(例: 心配、無力感、疲労)も優しく受け止めます。
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内なる応援団の存在を感じる(10分) 心の中で、困難に直面している自分自身の姿を優しく見守ります。そして、その自分自身を励まし、サポートしてくれる「内なる応援団」がすぐそばにいることを静かに感じてみましょう。 その「応援団」は、どのようなエネルギーを持っているでしょうか。温かい光、力強い支え、静かな安心感、澄んだ知恵の声など、感じ方は人それぞれです。もしかしたら、過去の困難を乗り越えた時の自分の強さとして感じられるかもしれませんし、困難の中でも希望を見出そうとした自分の側面として感じられるかもしれません。 すぐに具体的な感覚が湧かなくても大丈夫です。「自分の中には、どんな状況でも自分を支えてくれる力があるはずだ」と、静かに心の中で肯定してみるだけでも十分な第一歩です。
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応援団からのメッセージを受け取る(10分) 内なる応援団の存在を少しでも感じられたら、次にその応援団が、困難に直面しているあなたにどのような言葉をかけてくれるか、耳を澄ませてみましょう。 それは、力強い激励かもしれません。「あなたは大丈夫」「乗り越える力はあなたの中にある」といった言葉かもしれません。 あるいは、温かい慰めかもしれません。「よく頑張っているね」「疲れたら休んで良いんだよ」といった言葉かもしれません。 または、静かな知恵の光かもしれません。「この経験から何を学べるだろうか」「次はどうすれば良いか、静かに考えてみよう」といった示唆かもしれません。 心に浮かんだ言葉やイメージ、感覚を、判断せずにそのまま受け取ります。ノートとペンがあれば、心に浮かんだ言葉やイメージを書き留めてみましょう。自分の中から湧き出てくる、自分を肯定し、励まし、支える言葉に意識を向けます。
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受け取った力を心に留める(5分) 内なる応援団から受け取ったメッセージや力を、静かに心に留めます。その温かさや力強さを、自分自身のエネルギーとして取り込むイメージをします。息を吸い込むときに、その肯定的なエネルギーが体全体に行き渡るのを感じましょう。そして、必要であれば、いつでもこの内なる応援団に繋がれることを思い出します。
実践のポイントと注意点
- 完璧を目指さない: 初めてこのワークを行うとき、すぐに「応援団」の存在を感じたり、明確なメッセージを受け取ったりできないかもしれません。それは自然なことです。大切なのは、自分の中にそうした肯定的な側面がある可能性に意識を向けることです。
- 否定的な声への対処: ワーク中に、自分を批判するような否定的な考えや声が浮かんでくることもあります。そのような時は、その声と戦うのではなく、「ああ、今、自分を否定する声が聞こえているな」と客観的に気づくだけで十分です。そして、再び内なる応援団の存在に意識を戻す練習をします。
- 比喩として捉える: 「内なる応援団」はあくまで理解を助けるための比喩です。大切なのは、自分自身の内にある回復力や肯定的な側面に意識的に繋がろうとする意図そのものです。
- 日常で思い出す: ワークの時間以外でも、困難に直面した時や不安を感じた時に、「自分の中には内なる応援団がいる」と思い出すだけでも、心の持ち方が変わることがあります。
このワークがもたらす可能性
この「内なる応援団を見つける実践ワーク」を定期的に行うことで、以下のような変化が期待できます。
- 自己肯定感の向上: 自分自身の肯定的な側面に意識を向けることで、自己評価が安定しやすくなります。
- 不安やストレスへの対処能力の向上: 困難な状況でも、自分自身の中に支えがあると感じられるため、落ち着いて対処できる可能性が高まります。
- 回復力の向上(レジリエンス): 逆境から立ち直るための内的な力が育まれます。
- 自己信頼の深化: 自分自身の内なる声や感覚を信頼する感覚が育まれます。
まとめ
日々のストレスや漠然とした不安は、私たちが持つ本来の力を覆い隠してしまうことがあります。しかし、今回ご紹介した「内なる応援団を見つける実践ワーク」のように、自分自身の内にある肯定的な側面に意識的に繋がる練習をすることで、困難に立ち向かうための力を呼び覚まし、より平穏で力強い自分自身を育むことが期待できます。
まずは短時間からでも良いので、静かな時間を作り、ご自身の内側へと優しく意識を向けてみてください。あなたの内なる応援団は、いつでもあなたを支え、励ます準備ができています。